【死なない種類も】サメやマグロは泳ぎ続けないと死ぬ?その理由を解説

「サメやマグロは泳ぎ続けないと死んでしまう」こんな話を聞いたことはありませんか?

実際はどうかというと、一部のサメは泳がなくても生きていけるのですが(後ほど紹介します)、確かにマグロや一部のサメは泳ぎ続けないと死んでしまいます。

なので、「サメやマグロが泳ぎ続けなければ死んでしまう」というのは、概ね事実だと思っていいでしょう!では、一部のサメやマグロが泳ぎ続けなければいけないのはなぜなのか、解説していきます。

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目次

サメやマグロは泳ぎ続け無いと死んでしまう?

一部のサメやマグロは、泳ぎ続けないと死んでしまいます。死因は何かというと「窒息死」です。

これはマグロに限らず、カツオやサバなどの遊泳能力が高い回遊魚に見られる特徴です。

また、サメの中でも遊泳能力の高い「アオザメ」や「ホホジロザメ」といった種類のサメ達も、マグロなどと同じく泳ぎ続けないと死んでしまいます。

そのため彼らは、速度は普段よりも落ちますが、眠る時も泳ぎ続けています。マグロといえば「葛西臨海水族園」ですが、そこでもマグロが泳ぎ続けるのを見ることが出来ます。

なぜこのようなことが起きているのでしょうか?

サメやマグロが泳ぎ続けないと死ぬ理由とは?

一部のサメやマグロが泳ぎ続けないと死んでしまう理由は、先ほど死因でも話した通り泳ぎ続けないと「窒息してしまうから」です。

そもそも一部のサメやマグロ達は、少しだけ口が空いた状態で泳ぐことで、口から流れ込んだ海水をエラに通して、海水中の酸素を体に取り込んでいます。

このような呼吸法を「ラム換水」と言います。この「ラム(ram)」はぎゅっと詰め込むといった意味を持っており、泳ぐことで水を詰め込んでいくようなイメージです。

一部のサメやマグロ達は、泳ぎ続けないとラム換水を行う事ができないので、体に酸素を取り込むことが出来ずに窒息死してしまう、ということです。

泳ぎ続けないサメもいる?

現在、世界には500種類を超えるサメがいるとされています。多くの人にとってのサメは、素早く泳ぎ回って獲物を捕まえるというイメージや、人喰いザメというイメージがあるのでは無いでしょうか?

実はサメのほとんどが人を襲ったことはありませんし、ガンガン泳ぎ回る種類ばかりというわけでもありません。

「イヌザメ」や「カスザメ」など、底棲性(海底でじっとしている)のサメもたくさんいます。こういったサメは、わざわざ泳がなくても死ぬことはありません。

ではどうやって呼吸しているのかというと、彼らは「口を開閉させることで海水を引き込む仕組み」を持っています。この呼吸法は「口腔ポンプ換水」と呼ばれており、この仕組みを持っているサメ達は動かなくても呼吸することが出来ます。

成長するにつれて呼吸法が変わるサメもいる?

魚の呼吸方法として、泳ぎ続けないと死んでしまう「ラム換水」と、泳がなくても大丈夫な「口腔ポンプ換水」を紹介しました。

しかし、「イタチザメ」という種類のサメで、「ラム換水」と「口腔ポンプ換水」の両方が観測された事例があります。

イタチザメは本来ラム換水を行うサメですが、沖縄美ら海水族館で飼育されていたイタチザメが出産した際、生まれた仔ザメ達は泳いでいる時は「ラム換水」を、水槽の底で休んでいる時は「口腔ポンプ換水」を行いました。

また、仔ザメ達が母ザメの子宮にいる時、エコーを使って内部を確認したところ、口をパクパクとさせて呼吸している様子が確認されました。

つまり、イタチザメは母ザメの体内で「口腔ポンプ換水」を行い、生まれてすぐは両呼吸法のハイブリッドとなり、最終的には「ラム換水」に移行していったということです。

水族館の飼育下ということでここまで詳しく観察できていますが、多くの遊泳能力が高いサメにおいて、ここまで詳細に観察された例は少ないため、他のサメでも同じ生態が見られる可能性があります。

サメの研究はまだまだ未知のことが多く、非常にロマンがありますね。

まとめ:一部の魚は泳ぎ続ける

今回は、一部のサメやマグロが泳ぎ続けないと死んでしまう理由について紹介しました。彼らは、泳ぎ続けないと呼吸出来ずに窒息してしまうため、泳ぎ続けています。

これは眠っている時も例外ではなく、速度を少し落としながらも常に動き続けています。

人間からするとかなりハードな生活ですが、魚達のタフさはすごいですね…。

参考資料

  • 佐藤圭一,富田武照『寝てもサメても 深層サメ学』勉誠出版、2021年
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この記事を書いた人

水族館や深海魚・水産に関わることなどが大好きです。
大学院で深海魚に関する研究をしていましたが、2020年に社会人になり
働きながらブログをちょこちょこと書いています。

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