【人魚のモデル】「ジュゴン」と「マナティー」の違いとは?

今回は人魚のモデルとも言われる生き物「ジュゴン」と「マナティー」についての記事です。

どちらも似た見た目をしていますが、彼らの違いは何なのでしょうか?

ということで今回は、ジュゴンとマナティーの違いを、彼らを見分ける方法と合わせて紹介していきます!

目次

「ジュゴン」と「マナティー」の違いとは?

ジュゴン
マナティー

ジュゴンとマナティーはともに同じ「海牛(かいぎゅう)目」に属している、「海獣(かいじゅう)の仲間」です。海獣とは海に住んでいる哺乳類のことを表します。

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両者ともに全体的にふっくらとしており、似ている部分もありますが、写真を見てもらえば、その大まかな違いが分かるかと思います!

では、具体的にどんな違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。「ジュゴン」と「マナティー」の違いは下記の通りです。

ジュゴンとマナティーの違い
  1. 種類
  2. 生息地
  3. 大きさ
  4. 尾ビレの形
  5. 食べ物と口
  6. 皮膚
  7. 胸ビレの形

中でも「ヒレの形」は、ジュゴンとマナティーを見分けるのに最も効果的です。簡単に見分けられるので、水族館などで見かけたらチェックしてみてください!

ジュゴンとマナティーに会える水族館は後ほど紹介します!

①種類

1つ目の違いは「種類」です。もちろん「ジュゴン」と「マナティー」は別の種類なのですが、それだけではありません。

実は「ジュゴン」は1種類しかいないのに対して、「マナティー」には下記の通り3種類存在します。

マナティーの種類
  • アフリカマナティー:最も大きい
  • アマゾンマナティー:淡水域のみに生息、最も小さい
  • アフリカマナティー:アメリカマナティーの次に大きい

それぞれ見た目は似ていますが、名前からも分かる通り住んでいる場所が違っており、体の大きさなどが異なっています。

②生息地

2つ目の違いは「生息地」です。

「ジュゴン」は「海水域」つまり海に生息するのに対して、「マナティー」は海水と淡水がまざった「汽水(きすい)域」つまり海と川が合流するような場所に生息しています。

そのため、ジュゴンの生息域が紅海・インド洋からオーストラリア北部まで比較的広くなっている一方で、マナティーの生息域は局所的です。

マナティーの大体の生息場所は、先ほど紹介した3種類の名前から想像出来ますね!ジュゴンの生息域は沖縄辺りが北限なので、沖縄本島周辺で観られる可能性もあります!

③大きさ

3つ目の違いは「大きさ」です。マナティーは種類によって異なりますが、それぞれの体長と体重は大体こんなイメージです。

種類体長体重
ジュゴン2.4~3m250~450㎏
マナティー3~4m300~1,500㎏

マナティーの中でもアメリカマナティーは海牛目の中で最大種なので一番大きいですが、アマゾンマナティーは海牛目で最小種なので、小さめです。

そのため、大きさだけでジュゴンとマナティーを見分けるのは中々難しそうです。

④尾ビレの形

ジュゴン
マナティー

4つ目の違いは「尾ビレの形」です。これは両種を見分けるのに最も効果的な部位です!

「ジュゴン」の尾ビレは、イルカのような「三角の形」をしています。

海に棲んでいるジュゴンは、荒れた海でも持続的に速く泳ぐことができるよう、イルカのような尾びれになったと考えられます。

一方で「マナティー」の尾ビレは「楕円形(だえんけい)」で、しゃもじのような形になっています。

これは急発進による加速には適していますが、持続的に高速で泳ぐには向いていません。そのため、泳ぐスピードはマナティの方が遅いです。

⑤食べ物と口

ジュゴン
マナティー

5つ目の違いは「食べ物と口」です。ジュゴンとマナティは生息域が違うため、食べ物・口の形も違っています。

「ジュゴン」は浅瀬に生えた海草を掘り起こして食べるので、口が掃除機のように下を向いています。

ジュゴンは水族館でも海草しか食べず、三重県にある鳥羽水族館では基本アマモを与えています。アマモの調達は輸入に頼っているため、ジュゴンのエサ代は非常に高いです。(2,000万円という話も…)

一方で「マナティ」は水草を食べて生活しています。水草は水中に浮かんでいるため、海草のように掘り起こす必要がなく、マナティの口は正面を向いています。

水族館にいるマナティは、キャベツなどの野菜を食べており、ジュゴンと比べると食費はかなりリーズナブルです。

⑥皮膚

6つ目の違いは「皮膚」です。少し分かりづらいですが、「ジュゴン」の皮膚は滑らかで、短い毛がまばらに生えています。

一方「マナティ」の皮膚は厚くて硬く、ゴツゴツとしており、ジュゴンと同じようにまばらに毛が生えています。

彼らは水中の浅いところでのんびり生息しているので、苔やフジツボがついたりすることもあります。

3種類のマナティーのうち、アマゾン川に棲む「アマゾンマナティー」の皮膚は、他のマナティーと違ってツルツルしています!

⑦胸ビレの形

肘を曲げたマナティー

7つ目の違いは「胸ビレの形」です。ジュゴンの胸ビレには肘がないので、曲げることができません。また、爪もありません。

しかし、マナティの胸ビレには肘があり、曲げることができます。そのため、食べ物を持つようにして口に運ぶことができます。

また、ヒレ先には蹄(ひづめ)のような爪があります。もし確認できるタイミングがあればよくチェックしてみてください!

ジュゴンとマナティーの共通点は?

ここまで「ジュゴン」と「マナティー」の違いについて紹介して来ましたが、この2種類には共通点もあります。

ジュゴンとマナティーの共通点
  1. どちらも「海獣」で「海牛」
  2. どちらも人魚のモデルとして知られる

では共通点を一つずつ見ていきましょう。

①同じ「海獣」で「海牛」

最初の共通点は、「ジュゴン」も「マナティ」も「海獣」であり「海牛」であることです。

最初の方でも少し触れましたが、海獣とは海に住む哺乳類を総称したもので、他にはクジラ類・アザラシやアシカなどの鰭脚(ききゃく)類などが含まれます。

また海獣という広いグループだけでなく、両種とも「海牛(かいぎゅう)目」に分類されています。

この海牛目はその後「ジュゴン科」と「マナティー科」に分かれていきます。

②人魚伝説のモデル

2つ目の共通点はどちらも「人魚のモデルとなっていること」です。「ジュゴン」と「マナティ」はどちらも、「人魚伝説のモデル」とされている生き物です。

どちらがモデルなのかは国や地域によって異なっていて、日本を含めた東洋では「ジュゴン」がモデルとされています。

また、西ヨーロッパ諸国などを含む西洋では、「マナティ」が人魚のモデルになったと言われています。

ジュゴンに会える水族館がある?

実は日本は100以上の水族館がある、世界でも有数の水族館大国です。日本全国に様々な特徴を持った水族館があり、それぞれの地域で親しまれています。

そんな中で「ジュゴン」に会うことができる水族館は、1つしかありません。それは三重県鳥羽市にある「鳥羽水族館」です。

鳥羽水族館ではからジュゴンのセレナを飼育しており、今では歳になっています。ゆったりと泳ぐ可愛い姿が見られるので、見逃さないようにしましょう!

ちなみに鳥羽水族館は日本の水族館の中でも「飼育している生き物の種類数が一番多い」水族館として知られています。1,200種類もの生き物に出会えるので、いろんな生き物に会いたい、という人にオススメです。

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マナティーに会える水族館がある?

日本での水族館では、ジュゴンだけでなくマナティーに会うことも出来ます。

ジュゴンに会える水族館は1つしかありませんが、マナティーに会える水族館は下記の通り4つあります。

ここでも鳥羽水族館が出て来ました。さすが飼育種数日本一ですね!ジュゴンとマナティーに一気に会えるので、両方に会いたい人にはとてもオススメです。

また、それぞれの水族館の特徴や、水族館が飼育しているマナティーについてはこちらの記事でまとめています。

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まとめ

今回は「ジュゴン」と「マナティー」の違いについて紹介して来ました!彼らの違いをまとめるとこんな感じです。

ジュゴンマナティー
種類1種類3種類
生息地暖かい海汽水域
大きさマナティーより小さい大きい
尾ビレの形三角形楕円形
食べ物と口海草を食べる
口は下向き
水草を食べる
口は正面
皮膚滑らかゴツゴツ
胸ビレの形ヒジが無い
爪もない
ヒジがある
爪がある
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この記事を書いた人

水族館や深海魚・水産に関わることなどが大好きです。
大学院で深海魚に関する研究をしていましたが、2020年に社会人になり
働きながらブログをちょこちょこと書いています。

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