深海(深度 200m以深)は、陸上と違って様々な面で非常に生きづらい環境が広がっています。それは高い水圧や光の少なさ・食べ物の少なさなどもありますが、深海の水温にも起因しています。
基本的に水深が深くなればなるほど、太陽光の影響を受けずに水温は下がっていきますが、一体深海の水温はどうなっているのでしょうか?詳しく解説していきます。
そもそも海水面の温度はどのぐらい?
深海の水温を見る前に、そもそも海水面いわゆる表層の水温はどのぐらいなのでしょうか?
これは太陽光の強さによって変わってくるので、赤道付近で高く(約25〜30℃)、北極や南極付近で低く(約2〜3℃)なっています。また、赤道と極地の間の地域は、約7〜20℃程度で広く変化します。
また、海の表面から水深300mほどまでは、風や表面の温度変化によってかき混ぜられるので、水温はほとんど一定となっています。
このように海水面の温度は、地域によってかなり差があることが分かります。
深海の水温は水深によって結構違う?
では、深海の水温について見ていきましょう。海水面の温度は地域差が大きいですが、深海の水温は、大体2〜3℃で一定となっています。
表層と違って深海は太陽光や風の影響を受けないため、地域によって温度が大きく変化するということはありません。また、高緯度地域で冷やされた海水が沈み込んで、深層海流として世界中に広がっていることも深海の水温に影響しています。
ただし、深海とは一般的に「水深200m以深」の場所のことを示しています。先ほど、海の表面から水深300mほどまでは、太陽光や表面の温度変化の影響を受けるという話をしました。
つまり、赤道地域では深海(水深200〜300m程度)でもかなり温度が高い場合もあります。
水深が深くなると水温は一気に下がる?
北極や南極などの高緯度地域では、海水面の温度と深海の水温は2〜3℃でほぼ一定となります。
しかし、表層の温度が高い中緯度や低緯度の地域では、海水面の温度と深海の温度に大きく差があります。こういった地域では、下記の図のように水深1,000mに達するまでの間に水温が急激に低下する層が見られます。
この急激に水温が下がっていく層を「温度躍層」といい、大きく水温が低下した後、大体水深1,000m程度で水温は2〜3℃に収束していきます。そして、その後の水温はどこまで深くいってもほとんど一定で変化しません。
深海は深度とともに温度が上昇する?
水深1,000m程度を超えていくと、どれだけ暑い地域でも、水温は約2〜3℃程度でほとんど一定です。
しかし、実際の水温を測定すると、水深が深くなるほど温度が上昇する、という現象が見られます。これは高い圧力の影響で水が圧縮されることによる温度上昇です。
基本的に液体である水は、気体とは違って圧縮されないという風に理解されていますが、実際には高い圧力下では(非常に小さい割合ではありますが)圧縮されます。
海の塩分濃度など、その時々の環境によって変化しますが、その増加率は1,000 m(100気圧)当たりで約0.1℃程度です。そのため、ほぼ同じ海水で占められている深海の水温は、水深が1,000 m増すごとに0.1 ℃ずつ上昇することになります。
深海の水温についてのまとめ
今回は、深海の水温について解説してきました。最後に簡単にまとめると以下のようになります。
水深 | 水温 |
---|---|
表層〜300 m | 高緯度:約2〜3 ℃ 中緯度:約7〜20 ℃ 低緯度:約25〜30 ℃ |
約300〜1,000 m | 高緯度:約2〜3 ℃ 中緯度:約2〜3 ℃に向かって急激に低下 低緯度:約2〜3 ℃に向かって急激に低下 |
1,000 m以深 | 約2〜3℃ ※深度が上がると水温上昇が見られる場合も |
深海と一言でいっても、その水深は 200 m〜約 10,900 mまで大きな差があり、この水深によって水温も変化していくことを覚えておいてください!
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