「世界で一番」という響きに惹かれる人は多いと思います。世界一大きい動物が「シロナガスクジラ」であることはよく知られていると思いますが、世界一大きいサメ・世界一小さいサメは何というサメなのでしょうか?
「世界一大きいサメ」については知っている人も多いとは思いますが、「世界一小さいサメ」と合わせて紹介していこうと思います!
▼サメ好きにオススメの書籍はこちら!
世界最大のサメ「ジンベエザメ」
世界最大のサメは水族館の人気者「ジンベエザメ」です。これは有名なので、知っている人も多いかもしれませんね。ジンベエザメの体長は12m以上になることが確認されています。(最大体長については後ほど紹介します!)
ジンベエザメは世界最大のサメであるだけでなく、「世界最大の魚」、そして「哺乳類以外の脊椎動物の中でも最も大きい生物」として知られています。
これだけ大きな体を持っているジンベエザメですが、性格は非常に大人しく、プランクトンを食べて生活しています。
日本でも複数の水族館で飼育されており、各館の目玉となっている生き物です。水族館の個体では、10mを超えるようなものはなかなかいないですが、それでもかなり大きいです。
巨体で優雅に泳ぎ回る姿を、是非観て観てください!
ジンベエザメが最大のサメじゃない可能性も?
現存している種の中で、世界一大きいサメは「ジンベエザメ」だと話しました。しかし、これは確実にそうだとは言い切れません。
その理由は、海に生息する全ての種類のサメの体長を測定したわけでは無い(それは不可能…)ため、です。
ジンベエザメの次に大きいサメとして「ウバザメ」や「ホホジロザメ」が挙げられますが、もしかしたら彼らが最大まで成長した時に、ジンベエザメを超えるサイズになる可能性もあります。あるいは、まだ見つかっていない新種に、ジンベエザメよりも大きい種類がいるかもしれません。
そのため、ジンベエザメは現状データがある範囲内において最大のサメである、という事です。
ジンベエザメは最大どこまで大きくなる?
また、世界最大のサメであるジンベエザメがどれぐらい大きくなるのか、という疑問が湧いてくると思いますが、これも結論から言うと分かりません…。
これについては、野生の全てのジンベエザメの体長測定をしたわけではない、ということに加えて、測定そのものが難しい、ということが原因です。野生で確認されたジンベエザメについて、目視で体長を判断するのは容易ではなく、その値は誇張されることもあるので正しいとは言えません。
ジンベエザメの体長については、研究者や書籍によって12m〜20mと幅広い説がありますが、これには正確に測定されていないものがかなり混ざっているため、最大体長をはっきりと伝えるのは難しいです。
ただし、ホセ・カストロ博士の『The Sharks of North America』によると、信頼できる最大体長は下記の通りとされています。
- オス:12.8m(1983年インドの海岸に座礁)
- メス:12.1m(1959年インド)
多くのサメではメスの方がオスよりも大型化するため、メスの最大体長は13mを超える可能性も残っています!
世界最小のサメは分からない?
続いて、世界最小のサメについて見ていきましょう!ここまで読めば予想できる人も多いと思いますが、世界最小のサメも確実にコレだ!ということは非常に難しいです。
それは、各サメ達の最大体長が分からないからです。特に小さいサメ達は深海に生息する種類が多いため、サンプルの確保も簡単ではありません。
しかし、現状あるデータを用いると、いくつかのサメを世界最小のサメ候補として挙げることが出来ます。『寝てもサメても 深層サメ学』によると下記のとおりです。
- ペリーカラスザメ(最大20cm/成熟サイズ16〜17.5cm)
- ツラナガコビトザメ(22cm/15cm)
- オタマトラザメ(24cm/18〜19cm)
- オナガドチザメ(24cm/18〜19cm)
このデータから、暫定的には「ペリーカラスザメ」や「ツラナガコビトザメ」を世界最小のサメとして考えることが出来そうです!
まとめ:最大・最小を決めるのは難しい
今回は「世界最大のサメ」と「世界最小のサメ」について解説してきました。解説した通り、海の中に住んでいる生き物の体調を全て測定することはほぼ不可能です。
そのため、確実にこのサメが最大、このサメが最小ということは出来ませんが、現状あるデータに基づくと下記のとおりとなります。
- 世界最大のサメ:ジンベエザメ
- 世界最小のサメ:ペリーカラスザメ or ツラナガコビトザメ
今後、新たなサンプルが見つかることで更新される可能性もあります。まだまだ分からないことが多いというのは、ワクワクしますね!
参考資料
- Jose I. Castro (著), Diane Rome Peebles (イラスト), Genie Clark (はしがき)『The Sharks of North America』Oxford Univ Pr; Illustrated edition, 2011
- 佐藤圭一,富田武照『寝てもサメても 深層サメ学』勉誠出版, 2021年