深海魚のイメージに「赤い」というイメージがある人はいませんか?
浅い海にも「マダイ」や「アマダイ」など赤い魚は多いですが、確かに「キンメダイ」や「ホウボウ」など、赤い深海魚も結構いますよね。
これは一体なぜなのでしょうか?今回はそんな素朴な疑問に、「赤い光」に注目しながら解説していきます!
なぜか深海魚・深海生物には赤い種類が多い?
深海魚・深海生物の中には、以下のように結構赤い種類がいます。
- キンメダイ
- アコウダイ
- キンキ
- ホウボウ
- ホッコクアカエビ
- ベニズワイガニ
- ミドリフサアンコウ など
そして、なぜか深海魚の中でも美味しいことで有名な魚が並んでいます(笑)どれも美味しいので、興味があれば皆さんも食べてみてください!
少し脱線しましたが、赤色は私たち人間にとっては「情熱」「興奮」「危険」などを示す色で、他の色と比べてもかなり目立つ色です。
自然の中でも「警告色(自分に害を及ぼすものに警告の意味を示す色で、有毒な生き物に多い)」と考えられてもおかしくないような色ですが、彼らは有毒どころかむしろ美味しかったりします。
体を赤くして、深海で目立つことに本当に意味があるのでしょうか?
深海に赤い生物が多い理由は?
深海に赤い生物が多い理由はズバリ「目立たないから」です。
赤色は警告色とも考えられるぐらい目立つ色なのに、目立たないとはどういうことなのか?
その答えは下の図に隠されています。これは、各色の光が海に吸収される水深を表現したものです。(太陽光は白い光ですが、この白い光は複数の色の光が集まってできています。)
この図を見ると、赤色が最も早く水深10m程度で吸収されてしまう一方、青色は水深200mを超えても吸収されないことが分かります。(実際は海の環境にもよります)
そして、これがどういうことかというと、海の中では、赤色が最も目立ちにくい色ということです。なぜ、そうなるのか?もう少し詳しく説明します。
なぜ深海では赤色が目立ちにくい?
そもそも私たち人間は、光がものに当たった時に反射した光を認識して、色を判別しています。葉っぱが緑色なのは、葉っぱに反射した光の色が緑色だからですし、海が青いのは、海が青色の光を反射しているからです。
そして、先ほどの図の通り、海の中では赤色が真っ先に吸収されてしまいます。つまり、海の中にはほとんど赤色の光がありません。
赤色の光がない、ということは深海の赤い魚に光は反射せず(実際には赤以外の光の反射があります)、ほとんど見えなくなってしまう、ということです。
「海の中」という環境において、赤色は警告色どころか「保護色」になっているんです!
赤い生物が多い水深がある?
先ほどの図を改めて見てみると、水深がある程度深くなってくると、ほぼ全ての光が吸収されてしまうことがわかります。
つまり、深い場所に行けば行くほどどの色の光も届かなくなっていくため、体の色はあまり関係なくなっていくということです。
そのため、より深いところに行けば行くほど、深海魚の色のバリエーションは減っていきます。ほぼ光が無い深海ではわざわざ体に色を持つ必要はありません。
深海生物は赤い光が見えない?
普段赤い光が届かない深海では、赤色の光を認識できない深海魚・深海生物が多くいます。これは、そもそも赤い光が届かないため、赤色を認識する必要が無いからだとされています。
たまに水族館で深海魚の展示に赤い光が使われている場面がありますが、その理由は赤い光を認識できないからです。(深海生物を刺激せずに展示する工夫のひとつですね。)
また、深海魚の中にはこの性質を利用した種類もいます。
例えば「オオクチホシエソ」は、眼の真下にある発光器から赤い光を出して獲物を探します。敵にバレずに獲物を探し出すという、なんとも賢い生存戦略を持っています!
まとめ:赤い深海魚は意外と多くない
今回は、赤い深海魚が多い理由について紹介してきました。その理由は「赤い色は目立たないから」です。
赤い光が最も吸収されやすい色であることから、赤い色をした深海魚は確かに結構います。ただし、水が深くなれば赤以外の色の光も吸収されていくため、色味のない体の深海魚が増えていきます。
そのため赤い色をした深海魚は、多くの方が持つイメージほどは多くないと思います。
深海魚の図鑑を見てみると、黒っぽい地味な色の魚が多いことに気づくと思います。ぜひ確かめてみてください!
オススメの本はこちらでまとめています。
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