チョウチンアンコウはなぜ光る?その理由と仕組みを解説!

深海魚の中でも知名度の高い「チョウチンアンコウ」、その特徴的な見た目から興味をそそられる人が多いと思います。

特徴には色々ありますが、特に印象的なのは、その名前の由来にもなっている「頭にぶらさがった提灯(ちょうちん)」ではないでしょうか?

頭に釣り竿のようなものがついており、しかもそれが「光る」ということで、改めて考えてみると変な生き物ですよね…。

ということで今回は、チョウチンアンコウの頭についている提灯がなぜ・どうやって光るのかを解説していきます!

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目次

チョウチンアンコウの提灯の正体とは?

まず、そもそもチョウチンアンコウについている提灯の正体は何なのか、簡単に解説しておきます。

チョウチンアンコウの提灯は、背ビレの一部が変化したもので「イリシウム(誘引突起)」と呼ばれています。そしてその先端には「エスカ(擬餌状体)」と呼ばれる膨らみがついています。

これは主にチョウチンアンコウ科の魚に見られる特徴で、エスカの形質は種類によって異なっています。

また、すべてのアンコウ類にイリシウムやエスカがついているわけではなく、食用に出回っている「キアンコウ」や「アンコウ」にも見られません。

皆さんの想像通り、イリシウムやエスカは獲物を誘き寄せる役割を果たしています。

チョウチンアンコウはなぜ光る?

チョウチンアンコウの中で光るのは、先ほど紹介した「エスカ」と呼ばれる部分です。

なぜエスカが光るのか、それは大きく2つ理由があるとされています。

一つは「獲物を誘き寄せる効果を高めるため」です。釣竿のようなイリシウムの先に擬似餌となるエスカついており、それ自体で獲物を誘き寄せる効果は少なからずあります。

しかし、チョウチンアンコウが生息する深海は光がほとんど届かない場所です。「エスカ」を光らせることによって、それを食べ物と思った小魚を誘き寄せ、最終的にはチョウチンアンコウ側がそれを捕食する、という流れです。

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もう一つの理由は「お互いの種を識別するため」です。チョウチンアンコウのエスカは種類ごとに形質が異なっており、これまでに160種類以上が確認されています。

生物量が少ない深海において、同種を認識して確実に子孫を残すことは非常に重要なことです。厳しい環境下を生き残るための知恵の結晶がチョウチンアンコウの光仕組み、ということです。

チョウチンアンコウはどうやって光る?

チョウチンアンコウが光る理由は分かりましたが、彼らは「エスカ」をどうやって発光させているのでしょうか?実は、彼ら自身が自分で発光させているわけではありません。

実はチョウチンアンコウのエスカは、エスカに住んでいる発光バクテリアによって発光しています。

エスカはバクテリアの培養室の役割を果たしており、発光バクテリアが共生しています。培養室の上部は半透明で開口部があるため、ここから発光物質を噴出させることができます。

また、チョウチンアンコウのエスカから出ている糸状の器官は光ファイバーに似た構造をしており、透明な組織を中心として、発光バクテリアの光を先端の発光器に届けています。

ただし、チョウチンアンコウがエスカを光らせるタイミングをどうやって調整しているのか、については詳しくはわかっていません。

チョウチンアンコウはメスしか光らない

ここまで、チョウチンアンコウが発光する理由とその仕組みについて話してきました。

ですが、チョウチンアンコウのうち「発光するのはメスだけ」です。オスはエスカ自体を持っていないので、エサをおびき寄せるということができません。

では、オスはどうやって栄養を蓄えるのか、その方法は「メスに寄生する」という非常に珍しいものです。

寄生の度合いは種類によって異なりますし、すべてのチョウチンアンコウがこの戦略を取るわけではありませんが、究極なものだと「寄生後に体の期間は退化し、意識も失い、精子を作るだけの器官になる」という種類もいます。

なぜこんな生態的特徴を持つのか、その理由は深海の厳しい環境にあります。食べ物が少なく、同種に出会う可能性も限りなく低い深海では、子孫を残すためにこのような生存方法をとっているんです…。

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まとめ:深海魚は面白い

今回は、チョウチンアンコウが光るその理由と仕組みについて解説してきました。

チョウチンアンコウはかなり有名な深海魚ですが、知名度が低い深海生物にも面白い生態や見た目をもつものがたくさんいます。

もし興味があれば、オススメの本をまとめているので、ぜひ読んでみてください!

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この記事を書いた人

水族館や深海魚・水産に関わることなどが大好きです。
大学院で深海魚に関する研究をしていましたが、2020年に社会人になり
働きながらブログをちょこちょこと書いています。

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