世の中には、ややこしい名前の生き物がたくさんいます。例えばトゲアリトゲナシトゲトゲという生き物が存在します。(この生き物にはトゲがあります)
こういったややこしい名前は、海の生き物にもたくさん付けられており、今回紹介する「チョウザメ」もその1種です。チョウザメは名前にサメとついていますが、「ジンベエザメ」や「ホオジロザメ」とは違って、サメの仲間ではありません…。
「チョウザメ」がサメではない理由や、なぜサメじゃないのに「サメ」とついているのか、そんな疑問に答えていきます!
サメじゃない「チョウザメ」について
サメではない理由を紹介する前に、簡単に「チョウザメ」を紹介しておきます。
「チョウザメ」は約3億年前から存在した古代魚の1種であり、長寿の魚として知られています。寿命は大体50〜60年とされていますが、150年以上生きたという記録もあります。
そんな「チョウザメ」ですが、一番の特徴は卵です。ご存知の方も多いかもしれませんが、チョウザメの卵は高級食材である「キャビア」です。
卵が有名すぎて、身を食べたことがある人はあまりいないかもしれませんが、実は身も美味しいと評判です!
また、一言でチョウザメと言いますが、実は結構種類が多く「コチョウザメ」「ロシアチョウザメ」「シベリアチョウザメ」など、見た目や大きさもバラエティ豊かです。
「チョウザメ」と「サメ」は骨が違う
ここからは、チョウザメとサメの違いを見ていきましょう!チョウザメがサメの仲間ではない理由を説明するためには、骨の違いに着目する必要があります。
チョウザメの骨は、私たちが普段食べる魚と同じように非常に硬いです。そのため、分類としては「硬骨魚類(こうこつぎょるい)」に当てはまります。
一方でサメの仲間の骨は比較的軟らかくなっているため、サメは「軟骨魚類(なんこつぎょるい)」に当てはまります。
これがどういうことかと言うと、「チョウザメ」と「サメ」はかなり大きな分類の時点で別のグループに属している、ということです!
「軟骨魚類」ってなに?
軟骨魚類はその名の通り、骨の全てが軟骨からできている魚です。軟骨でできているため、骨は非常に軟らかいです。
また、あばら骨や小骨もないので、比較的食べやすい魚と言うこともできます。サメを食べる人はあまり多くないかもしれませんが、機会があれば確かめてみてください!
お酒を飲む人であれば「梅水晶」を食べたことがあるかもしれませんね。
ちなみに、魚の中で軟骨魚類に含まれる種類は少なく、大別すると「サメ・エイ・ギンザメ類」です。(ちなみに、ギンザメもサメではありません)
じゃあ「硬骨魚類」ってなに?
一方で、硬骨魚類は骨のほとんどが硬骨からできている魚のことです。普段みなさんが食べる魚はほとんどがこの「硬骨魚類」に含まれます。
硬骨魚類に含まれる魚の骨は非常に硬く、皆さんご存知の通り、あばら骨や小骨もたくさんあるものがほとんどです。
「チョウザメ」と「サメ」は浮き袋が違う
骨以外の違いには「浮き袋の有無」があります。硬骨魚類であるチョウザメは、他の一般的な魚と同様に浮き袋を持っていますが、軟骨魚類であるサメは浮き袋を持っていません。
サメの体の比重は水よりも大きいので、そのままだと沈んでしまいますが、サメは浮き袋を持たない代わりに「脂質の多い肝臓」を持っています。
脂質は水よりも軽いので、これが浮き袋の代わりを果たしています!グループが違うため、体の構造も色々と異なっていることが分かりますね。
なぜチョウザメに「サメ」がついているのか?
「チョウザメ」がサメではないことが分かりましたが、ではなぜ名前に「サメ」とついているのでしょうか?
実は、チョウザメの「チョウ」は蝶々の「チョウ」です。ウロコの形が蝶に似ているところから来ています。そのため漢字では「蝶鮫」と書きます。
また「サメ」の部分については、サメに似ているところが由来となっています。
- 口が下の方にあるところ
- 尾びれの形が上下非対称であるところ
こういった特徴がサメに似ているということで、この名前がつきました。「似ている」からサメと名付けるといった、いい加減な名前のつけ方もありなんですね…。
他にも「サメ」とつくのにサメじゃない生き物が?
実はチョウザメ以外にも、サメじゃないのに名前に「サメ」とつく生き物がいます。
「コバンザメ」も硬骨魚類なので、サメとはかなり離れたグループに属しています。
また、「サカタザメ」や「ウチワザメ」の仲間は、エイの頭をサメの体にくっつけたような形をしています。以下の写真のような見た目です。
実はサメとエイの違いは形だけではありません。サメとエイはエラ穴の位置で判別することができます。
- エラの孔が体の側面にある→サメ
- エラの孔がお腹がわにある→エイ
そのため、形がどれだけエイに似ていても、エラの孔が側面にあればサメと分類されます。
「サカタザメ」と「ウチワザメ」はサメのような体つきをしていますが、エラ孔が下についているので、エイに分類されます。しかし、見た目がサメっぽいので「サメ」と付いています。
また、「ギンザメ」は軟骨魚類に属していますが、サメとは別のグループの生き物です。
このように、名前の付け方は結構いい加減なことがあります(笑)
まとめ:ややこしい名前の生き物は結構多い
今回は名前にサメとついている「チョウザメ」がサメではない理由や、なぜ「サメ」とついているのかについて紹介してきました。
「チョウザメ」は硬骨魚類で浮き袋も持っているので、軟骨魚類であり浮き袋を持たない「サメ」とは別の生き物です!
こうした面白い生き物たちも多くの水族館で飼育されています。安く水族館に行ける方法も紹介しているので、皆さんもぜひ生の魚を魚を観に行ってみてください!
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