なぜ深海魚にはブサイクや気持ち悪い見た目が多いのか?徹底解説します!

「深海魚」や「深海生物」のイメージをいくつか挙げたとき、「怖い」「ブサイク」あるいは「気持ち悪い」、こんな項目を思い浮かべる人が結構多いんじゃないでしょうか?

もちろん、全ての深海魚がそういう見た目をしているわけではないですが、深海魚好きの私から見ても、表層の魚とは違った見た目の深海魚は多いです。

ということで今回は、深海魚の中に気持ち悪い・怖い・ブサイクな種類が多い理由を解説していきます!

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目次

なぜ深海魚にはブサイクや気持ち悪い見た目が多い?

深海に変わった見た目の生き物が多い理由を簡単に言うと、「過酷な環境に適応したから」です。

深海の環境
  • 食べ物が少ない
  • 暗い
  • 寒い

以上のような、浅い海とはかけ離れた環境に適応して生き残っていった結果、現在のような気持ち悪い・ブサイクな顔に繋がっていきました。

ただ、これだけだとあまりにも簡単な説明なので、深海魚の特徴に繋がった深海の環境について、もう少し詳しく見ていきましょう!

「食べ物が少ない」から、深海魚は気持ち悪い・ブサイク

深海は水深200mよりも深い場所のことを言います。太陽光が届くのは水深1,000mほどですが、植物が光合成できる限界は水深200m程度です。
▶︎参考記事:深海に植物は存在しない?太陽光は届かない?疑問を解消

そのため、深海には植物プランクトンが少なく、エネルギーの元となる食べ物がほとんどありません。そんな環境に適応した結果、以下のような特徴が生まれてきました。

深海魚の特徴
  • 口が大きくなる
  • 胃袋の伸縮性が高くなる
  • 発光器を体につける

「フクロウナギ」のように、見つけた食べ物を確実に捕らえるために口をとてつもなく大きくした魚もいますし、「チョウチンアンコウ」や「ハダカイワシ」のように、少ない食べ物を見つけるために体や顔に発光器をつけた深海魚もいます。

このような特徴を持った結果、深海魚は人が気持ち悪い・ブサイクと感じるような顔になっていきました。

「光が少ない」から、深海魚は気持ち悪い・ブサイク

一言で深海と言いますが、その水深によって環境は大きく違っています。例えば同じ深海でも、光が届く場所もあれば、届かない場所もあります。

この光の届き具合によって、それぞれ違った深海魚の特徴が生まれているので、分けて説明していきます。
▶︎参考記事:深海に太陽光は届かない?光が届く最大水深は何m?疑問を解消!

水深 200〜1,000mにいる深海魚の特徴

水深 200〜1,000mの深海には、ギリギリ薄い光が届きます。少しだけ光が届くこのエリアは「トワイライトゾーン」と呼ばれ、ここに住む深海魚は以下のような特徴を持つ傾向があります。

200〜1,000mに生息する深海魚の特徴
  • 巨大化した眼
  • 望遠鏡のような眼
  • 上向きについた眼

身近なところだと「キンメダイ」や「ハシキンメ」は、光が少ない環境でも獲物を見つけられるように比較的大きな眼を持ちます。

また、頭が透明なことで知られる「デメニギス」は、望遠鏡のような機能を持つ眼を持っています。さらに「テンガンムネエソ」は、太陽光で出来た獲物の影を見つけるために上向きに着いた眼を持っています。

水深1,000mよりも深い場所にいる深海魚の特徴

水深が1,000mを超えていくと、光が全く届かなくなり、光としては生物発光のみが見られるような環境になっていきます。そんな過酷な環境に住む深海魚達は、以下のような特徴を持つ傾向にあります。

1,000m以上に生息する深海魚の特徴
  • 退化した眼
  • 発達した側線
  • 色味のない体

光が届かないため眼を持つ必要が無くなり、眼を退化させてしまった深海魚がいます。これは光が届かない洞窟内に住む魚にも見られる特徴です。

また、「ジョルダンヒレナガチョウチンアンコウ」のように、周囲の水の動きを感知するための側線と呼ばれる器官を発達させた深海魚もいます。

そして、光が届かない環境にいる魚は体色も地味で暗いものが多くなっています。深海魚は赤い、というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、1,000 mよりも深いところにいる深海魚は色味のないものが多いです。

「圧力が大きい」から、深海魚は気持ち悪い・ブサイク

ご存知の通り、深海は非常に圧力が高い場所です。水深が深くなればなるほど水圧の大きさは上がっていきます。そんな環境に適応した深海魚には、以下のような特徴を持つものも多いです。

高圧の環境に適応した深海魚の特徴
  • ゼラチンのような体
  • ブヨブヨした体

水圧の適応方法には色々ありますが、その一つに筋肉中の水分量を増やす、というものがあります。
▶︎参考記事:【6つの対策】なぜ深海魚は水圧で潰れないのか?詳しく解説します

この結果、「コンニャクウオ系の深海魚」のように体がゼラチン状になったものや、ブヨブヨの体になったものがいます。

世界一ブサイクな生き物として一躍有名になった「ニュウドウカジカ」も、ここに当てはまります!

気持ち悪い・ブサイクと誤解されている深海魚も?

ここまで、深海魚が気持ち悪い・ブサイクな見た目をしている理由を解説してきました。深海特有の過酷な環境が理由で、浅い海にいる魚とは全く違った、このような特徴が生まれています。

しかし、本来は気持ち悪い・ブサイクな見た目をしてないのに、気持ち悪い・ブサイクだと誤解されている種類もいます。

その理由は、水揚げされた時の姿にあります。口から何か出てきている深海魚の写真を見たことはありませんか?

あれは水圧の変化で、浮き袋の中にある空気が膨張したことによるものです。水の中では口から何か出して生活してはいません。

また、ブサイクで有名な「ニュウドウカジカ」は体の水分量が多いので、水の外に出されてしまうと、重力に耐えられず体の形を維持することができません。

そのため、外に出すととてもブサイクな見た目になってしまいます…。

このように、本来の姿はそこまで気持ち悪くもブサイクでも無いのに、水揚げされた姿で誤解されている種類もいます。

まとめ:深海魚が怖い・気持ち悪い・ブサイクなのは環境のせい!

今回は、深海魚によく見られる特殊な見た目について、詳しく解説してきました。

深海の暗い・冷たい・食べ物が少ない環境に対応するために進化した結果、人が怖い・気持ち悪い・ブサイクと感じてしまうような見た目になってしまいました…。

とはいえ、比較的普通の魚っぽい深海魚やカッコイイ深海魚もいるので、深海魚についてもう少し詳しく知りたい方は、ぜひ本を読んでみてください!

こちらで深海魚好きの僕がオススメする深海魚本を紹介しています。

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この記事を書いた人

水族館や深海魚・水産に関わることなどが大好きです。
大学院で深海魚に関する研究をしていましたが、2020年に社会人になり
働きながらブログをちょこちょこと書いています。

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