【人喰いザメ?】水族館にホホジロザメ(ホオジロザメ)がいない理由とは?

獰猛な性格で知られる大型のサメ「ホホジロザメ」、映画『ジョーズ』を通じて「人喰いザメ」のイメージもついているサメですが、その姿を一目見たい、という人も少なく無いはずです。

しかし、現状は生きたホホジロザメを常設で展示している水族館はありません。「ジンベエザメ」などさらに大型の生き物を展示している水族館もあるのに、なぜなのでしょうか?

ということで今回は、ホホジロザメの常設展示が実現できていない理由を解説します!

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「ホオジロザメ」は人喰いザメとして認知されていますが、人を好んで食べるサメはいません!

目次

ホホジロザメ(ホオジロザメ)とは?

ホホジロザメは、ホホジロザメと呼ばれることもありますが、どちらも間違いではありません。一応、日本魚類学会で定められた標準和名としては「ホホジロザメ」が採用されています。

「ホホジロザメ」は世界一大きい魚ランキングの第3位にもランキングするほど大きい体を持っており、体重は3.34t・体長は7mほどにまで達することがあります。

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また、映画「ジョーズ」でも知られている通りとても凶暴なサメとして恐れられており、温厚な「ジンベエザメ」とは真逆のイメージですね。最も人を襲った記録の多いサメでもあり、ここから人喰いザメという印象がついたのかもしれません。

ホホジロザメは水族館にいない?

恐ろしいイメージが強いホホジロザメですが、実は水族館での飼育が実現したことが無いわけではありません。日本の水族館も含めて、複数の水族館でホホジロザメを飼育・展示しようとした実績があります。

水族館名飼育日数
モントレーベイ水族館(アメリカ)198日間
シーワールド・サンディエゴ(アメリカ)16日間
オーシャンワールドマンリー(オーストラリア)10日間
スタインハート水族館(アメリカ)5日間
しまね海洋館アクアス(日本)4日間
沖縄美ら海水族館(日本)4日間
ワイキキ水族館(アメリカ)2日間
アンダーウォーターワールド(オーストラリア)2日間
大分マリーンパレス水族館 うみたまご(日本)1日間
シーワールド(オーストラリア)1日間
ダーバン水族館(南アフリカ)1日間

ただし、この表の飼育日数を見れば、ホホジロザメの長期飼育が非常に難しいことが分かります。アメリカのモントレーベイ水族館が198日間(この時は個体が死亡したわけではなく、他のサメを襲ったということで海に返しました)とダントツの日数ではありますが、他の水族館は1ヶ月飼育することも出来ていません。

また、この表のうち皆さんが想像するような大型のホホジロザメ、つまり成体の展示に成功したのは、沖縄美ら海水族館(約3.5 m)のみです。やはり成体の飼育・常設展示まで成功させるのはかなり難しそうですね。

ホホジロザメが水族館にいない理由とは?

ホホジロザメの飼育・展示実績から、常設展示が難しいということは分かっていただけたかと思います。では、何がホホジロザメの飼育や展示を難しくしているのでしょうか?

その理由は大まかに分けて2つです。

ホホジロザメが水族館にいない理由
  • ホホジロザメに必要な水槽の大きさを確保するのが難しい
  • ホホジロザメに必要な食べ物の確保が難しい

それぞれもう少し詳しく見ていきます。

ホホジロザメに必要な水槽の大きさを確保するのが難しい

まず一つ目の理由は「ホホジロザメに必要な水槽の大きさを確保するのが難しいから」です。

ホホジロザメは広い海を長距離に渡って移動するサメです。また、ホホジロザメのように遊泳性のサメは、泳ぎ続けていないとエラから酸素を取り込むことが出来なくなり死んでしまいます。

一部の水族館には非常に大きな水槽がありますが、それでも泳ぎ続けるホホジロザメがゆったり暮らせるほど大きい水槽を用意するには至っていないようです。具体的にどれぐらいあれば十分かというのを証明するのも難しく、今後の飼育などを通じて明らかになるのを待つ必要があります。

「ホホジロザメ」よりも大きい「ジンベエザメ」が長期飼育出来ていますが、この理由は何なのか?はっきりとは分かりませんが、個人的には遊泳速度が影響しているのでは無いかと思います。平均時速や最高時速の大きいホホジロザメは、曲がりきれずに水槽にぶつかる可能性が高くなるのでは無いでしょうか?

ホホジロザメに必要な食べ物の確保が難しい

2つ目の理由は「ホホジロザメに必要な食べ物の確保が難しい」という点です。ホホジロザメは肉食のサメであり、小さい時こそ他の魚を食べますが、大きくなるとオットセイやアシカ、タコやカメを食べるようになります。

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公営の水族館はもちろん、私営の水族館でそういった食料を確保するのは量的な面でも費用面でも困難です。ホホジロザメの長期飼育を実現しても、赤字が続いてしまえば持続的な展示は不可能です。

また、攻撃性が強いホホジロザメは食べ物に対してかぶりつくような仕草を見せます。食べ物に対して一気に速度を上げて勢い良くかぶりつく姿で他の魚がパニックになってしまったり、というようなことも考えられます。

以上の理由から、現状はホホジロザメの常設展示が実現していません。

一方で「ジンベエザメ」はプランクトン食性のサメです。エサは主にオキアミで、必要量は多いですが、思ったよりエサ代は高く無いことで知られています。

どうしてもホホジロザメに会いたいなら…

現状、生きたホホジロザメの常設展示は行われていませんが、剥製の展示が行われている施設がいくつかあります。どうしてもホホジロザメの姿を観てみたい!という人はぜひこちらの施設に行ってみてください!

ホホジロザメは「卵胎生」と呼ばれる繁殖形態で、母親のお腹の中で卵を孵化させてから子供を産みます。そのため、美ら海水族館の胎仔標本は非常にレアな展示と言えます。

まとめ:ホホジロザメの飼育は難しい!

今回はホホジロザメの常設展示が水族館で実現できていない理由を解説してきました。その理由は下記の通りです。

ホホジロザメが水族館にいない理由
  • ホホジロザメに必要な水槽の大きさを確保するのが難しい
  • ホホジロザメに必要な食べ物の確保が難しい

ただ、実際に展示を成功させた水族館もありますし、今後新たに飼育にチャレンジする水族館も出てくるかもしれません。続報を待ちましょう!

また、ホホジロザメはいませんが、サメに会える水族館は日本にたくさんあります。こちらもぜひ読んでみてください。

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この記事を書いた人

水族館や深海魚・水産に関わることなどが大好きです。
大学院で深海魚に関する研究をしていましたが、2020年に社会人になり
働きながらブログをちょこちょこと書いています。

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