【まるでブラックホール】光のほぼ100%を吸収する深海魚がいた

2020年7月、スミソニアン博物館の研究チームが真っ黒な深海魚の光反射について面白い研究結果を発表しました。

内容としては深海魚の黒い皮膚が光の99.9%以上を吸収するというもので、これはまるでブラックホールのようだと述べています。

目次

「深海魚が99%の光を吸収する」研究結果の概要は?

まず、研究が始まる前のことですが研究者は黒い深海魚の写真を撮影した際に、細かい部分が上手く撮れないことに気づきました。

カメラの品質は高く、照明の問題でもなかったことから深海魚の黒い皮に興味を持ったようです。

そこで黒い深海魚の皮膚を調べたところ、光の約99.5%以上を吸収することがわかりました。これは黒い紙や新品のタイヤより黒い色です。

研究では、非常に黒い深海魚を16種発見し、最も光を吸収する種類の吸収度は99.9%を超えていたといいます。

研究者は「まるでブラックホールのようだ」とその黒さを例えていました。

ですが、深海ってそもそも暗いんじゃないの?そんなに黒くて意味あるの?と思った人もいるかもしれません。なので、黒い紙や新品のタイヤよりも皮膚が黒いそのメリットを紹介しますが、まずは深海の定義から振り返ります。

どこからが深海?光は届くの?

一般に深海というのは水深200mよりも深い場所のことを言います。そしてそこで生活する魚を一般的に深海魚と呼びます。

また、深海にも光は届きますが最大でも深度1,000mほど。この深さを超える場所に光は届きません。

しかも今回分析を行った種類の深海魚はかなり深い場所に住んでいる深海魚ばかり。こんなに色が黒く、光を吸収することに意味はあるのでしょうか?

深海魚が光を吸収するのには大きな意味がある

まず結論から言うと「意味はあります」

その理由は、深海には生物発行を行う生物がたくさん存在しているからです。生物発光とは、生き物が自分自身あるいは微生物を利用して光を発することです。

生物発光にはいくつかの理由が考えられています。

生物発光の理由
  • 光に寄ってくる生物を捕食する
  • 光を使って敵を見つける
  • 太陽の光をカモフラージュする
  • 仲間とコミュニケーションをとる

このように、様々な要因で発光を行う生物が深海には多いです。

これらのあらゆる発光から逃れるために、黒くて光を吸収する皮膚が役に立ちます。生存競争に非常に有利だというわけです。

この特徴によって、どんな光があろうとも敵に見つかることなく生活することができます!

深海魚はどうやって光を吸収する?

では、深海魚はどうやって光を吸収しているのでしょうか?

詳しいメカニズムは難しいのでここでは紹介しませんが、簡単にいうと光を吸収するメラノソームと呼ばれる色の細胞が、独特の方法で分布していることに由来しています。

メラノソームの配置方法やサイズ、形などが光を吸収するのにとても効率よく並べられているというわけです。

この結果は産業に活かすことができる?

今回の結果はウルトラブラックマテリアルと呼ばれる、超黒色の材料を製造することに活かせる可能性を秘めています。

光学機器などに用いられるこの材料は非常にデリケートで、製造には大きなコストがかかります。

深海魚の皮膚にあるような構造を参考にしてより安価に光を吸収できるようになったり、材料が壊れにくくなったり。

生物の持つ特徴を産業に活かして、私たちの生活がさらに豊かになっていくかもしれません!

参考Scientists Discover How Deep-Sea, Ultra-Black Fish Disappear

深海魚に出会える水族館

深海魚大国かつ水族館大国である日本には深海魚に出会える水族館もあります。

ぜひ実際に訪れて、実際に動き回る姿を観て楽しんでみてください。そして水族館の魅力を感じてください。

この中でも特に深海魚で有名なのは静岡県の「沼津港深海水族館」と愛知県の「竹島水族館」です。

迷ったらこちらに行ってみてください。特に沼津港では深海魚を食べることもできます…。詳しくはこちらの記事をどうぞ!

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もっと深海魚について知りたい方は、本を読むのもオススメです。

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ぜひ、深海魚をもっと楽しんでみてください。では、また。

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この記事を書いた人

水族館や深海魚・水産に関わることなどが大好きです。
大学院で深海魚に関する研究をしていましたが、2020年に社会人になり
働きながらブログをちょこちょこと書いています。

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